読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

illの中のill

オタク活動備忘録

映画『イカれてイル?』を観た話

※映画のネタバレあります。未鑑賞の方はご注意を!


MAGiC BOYZ主演映画『イカれてイル?』を観てきました。

監督が神聖かまってちゃんやライムベリー(Eチケ時代)の映像を手掛けておられる方で、マジボとは既にillsonのMVを撮ってらしたので期待値はかなり高めで、事前にあまりネタバレを入れない状態で劇場に足を運びました(そもそもエビダン界隈はライブのネタバレも非推奨なとこがある)。

全編通してあ〜〜〜〜これはillだなあ〜〜〜〜!!!!って叫びたくなるような映画。

初見で、素直にストーリーの流れを追ってから終盤「あああれはこういう解釈かな、メタファーがどうでこうで」みたいに頭の中で整理しながら観ていたらいきなりマヒロくんに横からぶん殴られたような心情に。
主演(主人公)でないマヒロくんがおいしいところをすべて持っていったマヒロ推し爆死映画でした。

劇中出てくる「スタークラス」「ダストクラス」という概念について、はっきりとしたアンサーが無かったので自分なりにちょっと考えてみました。
まず、スタークラスの描写にはペンライト、警官、セ◯オワ風ピエロ、アイドル。ダストクラスの描写には魔法学校の先生、そして楓万自身が出てきます。楓万の兄・大作、クラスメイトの田口さん、そして親友真広はどちらでもない位置付けにいると思われます。あと彩香。
スタークラスとダストクラス、最初は単なる学内でのクラス分け、スクールカースト的なものかと思っていたのですが色々と違和感が生じるので
①楓万の内的世界がダストクラス、外的世界が全てスタークラス説
②大人がスタークラス、子供がダストクラス説
③楓万に向き合わずバカにする人々を全て敵(スタークラス)とみなし、自分ときちんと対峙して実体を掴んでいる人々はダストクラスとしている説
あたりなのかなあと思いました。ただ、①説に立つと兄、田口さん、真広の存在が説明できず、②説に立つと魔法学校の先生は??となってしまうので、ここは③説だと仮定して考えてみます。
③説では、アイドルに熱狂するオタクと化した父、ドローンを飛ばす楓万を取り締まる警察官ら、楓万をイカれていると決めつけバカにしている人々に対し、楓万は戦おうとします。
そして、グネグネした心象風景が見えるように。ヒメ先生(SIMI LABのMARIA)曰く、その心象風景は"アイドル"だといいます。
これらのことを考えると、スタークラスはアイドルという概念や芸能関係者をはじめとする大人たち・・・という風にも読み取れるのではないかと。
つまり、楓万はMAGiC BOYZそのものであり、「アイドル」という先入観で軽視されたり馬鹿にされ実体を見てもらえないことに対して戦っているのでは?
劇中、彩香が取材しているというていでCQやDJ MASTERKEY、DOTAMAらが証言者として登場しますが、彼らは本質を捉えている(からMAGiC BOYZが4人に見えている)サイドの人物として描かれています。彼らはイカれていない、むしろ「4人に見えないの?」と主張します。それは、MAGiC BOYZを先入観によってきちんと評価できない人々に対する風刺ともとれるのではないかと考えます。

また、このスタークラス・ダストクラスの問いは、世間とマジボホーミー(MAGiC BOYZのファンのこと)の比喩としても読みかえが出来る気がします。ペンライトと戦ったり、社会の目(警官で表される)からヤバい、イカれていると思われてもMAGiC BOYZの魔法にかかってしまっているのでMAGiC BOYZが世界を変えられると信じてしまう、この良さをわからないほうがイカれてる!みたいな。まあこれは私が熱狂しすぎている所為でもあると思うのですが・・・
この辺りのテーマは人それぞれの読み方があると思いますが、ざっくりまとめると『本当にイカれてるのはどっちだ?』ということと、『どっちがイカれていようがMAGiC BOYZが世界を変えつつあることには違いない』ということなんじゃないかなと思います。

あとちょいちょい気になったのは、
・楓万がアイドルの心象風景の中からillsonを踊り、その瞬間彩香が楓万の中の4人の人格を認知できるようになったというシーンは彩香の心的変化に起因するものか、それとも楓万の変化に起因するものなのか、はたまた両方なのかどれなんだろうという点。
・花火、東京壊滅あたりのゴチャゴチャのどこまでが真実でどこからが真広の創作なのかという点。
・5人横並びで彩香との妄想に耽るシーン、真広は彩香に興味無かったのにどうしてそこでそうなった?というのとそもそも同じ空間で楓万の人格はともかく友達と横並びでなんでしてんの????という点(公開ブログの為詳細を書くのが憚られ、ぼやかして書きました)
・祐翔の人格だけが精神病院で離脱した理由
・冒頭の失踪事件のアナウンス

など。あと1番大きい違和感は、楓万がラップをやっているという描写は無く、物語上ではただのユーチューバーであったように思われるのに、楓万が連行されたのちMAGiC BOYZがラップとYouTubeで影響を与えた…というような描写がなされていた気がするのですが、マジボがラップグループであることやグループとしてのこれまでの文脈を知っていないと些か唐突だな、というものです。まあそりゃマジボのファンか竹内監督のファンがメインターゲットではあるのですが…。

これらの細かいことを羅列していると、満足度は低いのでは?と思われるかもしれませんが、いやいやまさか。あと3回は観たいです(2回観た)。
何故ならラスト、藤田真広が全てのモヤモヤを吹き飛ばすから。彼のぶっとび方なら仕方ない、と。むしろ混沌とすればするほど、超illだヤベエ…最高だ…という気分のまま、映画が終わってくれます。

いやーーー竹内監督がマヒロ大好きなのが相当伝わってきます。クラウドファンディング資金調達している当時まだマヒロはMAGiC BOYZに加入しておらず、映画の企画書も本来は楓万だけの設定だったんだろうな〜と思うのですが、後付けのマヒロが1番おいしい役をかっさらう辺り持ってんな〜という。サテライトって…

後はメンバーの演技に関しては、元々子役上がり・俳優志望の子たちなだけあること、また4人それぞれのキャラクターをデフォルメしたような設定だったことから、自然で良いなと思いました。ユウトくんがじゃがりこ煙草をスパスパ吸うの愛しさしかなかった。あとフウトくんが時折見せる表情にハッとさせられる場面が多々ありました。平和主義キャラ・トーマちゃんの「チルしてください!」「ビーフはやめましょう」はかわいくて汎用性高いので映画観てからよく使います(ホーミー以外に使うと大怪我しかねない)。リュウトくんもきゅるきゅるしてて可愛かったです。でもマヒロの棒読みには誰も勝てない。日本の映画史に残る棒読みっぷりではないでしょうか。どこまでがナチュラルでどこからが演技なのか、もうみんなマヒロから目が離せなかったでしょ?そうでもない?すみません(私はマヒロ推しです)。


映画は1時間ちょっとと短く、サラッと観れて、男子中学生のあんなところやこんなところも観れて、笑いどころもたくさんあって、マジボの楽曲も一気に楽しめるお得感。

なにより、Eチケライムベリーの超エモい映像を記録に残した竹内監督が、フウト、ユウト、リュウト、トーマ、マヒロの一度きりで美しい14(13)歳の夏を、鮮烈に一本の映像作品に残してくれたというところに最大の意味があると思っています。映画観たあとに「ありのままでマジボ」のMV観ると、エモさが爆発してもれなく死にます。


イェーイYouTube